こんにちは。
今日は、生活の自立度を表す指標であるADL、IADLという用語のご紹介と、認知症との関係についてお話します。
ADL、IADLとは
ADL(Activities of Daily Living)の略
日常生活上の基本動作を言います
・食事:自分で食事を摂る
・排泄:トイレに行ける
・入浴:体を洗う、浴槽に入る
・着替え:衣服の着脱
・移動:歩行や車椅子での移動等
IADL(Instrumental Activities of Daily Living)の略
手段的でより複雑な動作を言います
・買い物:必要な物品を購入する
・調理:食事を準備・調理する
・家事:掃除、洗濯、ゴミ出し
・交通機関の利用:バスや電車を利用し外出 等
ADLとIADLは、その項目毎に『自立』 『一部介助が必要』 『全て介助が必要』等と分類され、介護保険の等級やサービス導入時に重要な情報になります。
次に、代表的な3つの認知症と、ADL・IADL自立度に関するおおよその傾向についてお話します。
①アルツハイマー型認知症
ADLは比較的長く保たれます(関連する持病ある方は除く)一方でIADLは、薬の飲み忘れ、調理のバリエーションの減少等、比較的初期に質的変化が見られます。これはIADLが複数の段取りを要する為、動作途中で何をしていたか忘れてしまったり、部分的に行えても複数の段取りを完結させる事が難しくなる為です。
②脳血管性認知症
小さな脳梗塞が点在している場合が多く、目立った麻痺は無くても、比較的初期からADL面で歩行の不安定さ、食事でのむせこみ、失禁等が見られる事があります。一方でIADLは出来たり出来なかったりする事が混ざり、ややまだらな傾向があります。
③レビー小体型認知症
自律神経障害を伴い易く、認知症の前段階から、例えば立ちくらみによる転倒や、便秘、失禁などADLの低下が見られる方もいます。また中には、症状が進行するとパーキンソン症状といって、小刻みな歩き方になったり、食事でのむせこみが出る事があります。
IADLは初期のうちは比較的保たれますが、調子に波があるのも特徴です
ご高齢の方は症状がミックスする事もありますが、認知症のタイプにより、生活の自立度にも特徴がある事を、ご理解頂けたかと思います。
では、ADLとIADLの自立度をふまえて、ご自宅でのケアにどう繋げれば良いのでしょうか?
『安全に暮らす』事 『生活の質を保つ』2つの軸で考えていきます
まず、ADLは安全に暮らす事と大きく関連があります。
特に身体的動作が自立されていない場合は迷わず介護保険を活用頂き、トイレや階段に手すりを付ける、リハビリを行う、訪問サービスを入れる等、安全の基盤を固める事を優先します。
次にIADLは安全だけで無く生活の質に関与しますが、いきなり全てを誰かが取って代わるのでは無く、まず躓きのポイントを確認します
例えば、お薬管理なら
お薬カレンダーに分ければ一人で飲める、声掛けで飲める、薬の手渡しまで必要 等どこの段階なら出来るのかを確認し、お手伝いの量を調整します。
介護保険を使う際にも、ご本人に続けて頂ける事を残す視点で過不足の無い支援を行う事が大切です!
これらをご家族だけで検討するのは大変ですので、ADLやIADLの現状を踏まえて、かかりつけの医療機関や、ケアマネージャーさんへご相談くださいね。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。