入院=手術等の外科的治療をイメージする方も多いと思いますが、認知症の場合でも状況によって医療機関で入院加療を行う事があります。
今日は入院が適応となる状況と入院できる医療機関についてご説明します。
入院の対象となる3つの場合を例にご説明します。
1.行動・心理症状が重い場合
ご本人に、易怒性、暴言、暴力、興奮、妄想、幻覚、抑うつ等の症状が強く、安全な日常生活がままならない時
2.家族の介護負担による場合
介護負担感からご家族の健康状態悪化や鬱症状などが見られた時。ご本人への虐待やネグレクト等が疑われる時
3.医療的な治療の必要性がある場合
ご本人の健康が著しく損なわれている時(例 継続的に食事がとれない、意識障害がある等)
この3つです。
特徴的なのは、ご本人だけでなくご家族の状態も入院理由になる事です。
次にこの様な場合、入院出来る医療機関は以下の2つになります。
1.認知症専門の精神科のある病院
2.認知症疾患医療センターを設置している病院
2.の「認知症疾患医療センター」とは、認知症の診断・治療・相談などを一括して行なう医療機関で、都道府県や自治体で指定されています 。入院された場合は、健康状態の改善や環境調整のみならず、今飲んでいるお薬の再調整を図り、情緒的安定を目的とした治療が行われる事が多く、認知症専門医やケアに精通しているスタッフが在籍している上記の医療機関が最適といえます。
また入院の形についても
1.任意入院:本人の同意を得て入院
2.医療保護入院:本人の同意が得られないが医療的措置が必要な場合に家族の同意で入院
3.措置入院:症状により、他人に危害を加える恐れがある場合等は、都道府県知事の権限で入院
これら3つがあります。原則として、ご本人の同意のもと決定されますが、説明と同意が難しい状況の時は2や3が選択される場合もあります。
医療の世界には、『レスパイト入院』という言葉があります。
レスパイトとは一時的な休止を意味します。
ご自宅での生活がままならない時は、入院加療による一時的な休憩を挟み、心身の再調整を図りながらご本人、ご家族共に仕切り直そうという考え方です。
認知症の経過は長いからこそ、必要な時は入院をはさみながら、持続可能なケアを考える事も大切ですね。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました!
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。