医療機関が行う認知症の検査の一つに「血液検査」があります。
それは、まれに内科的要因により、認知機能に影響をきたす為で、補正する事ができるものもあるからです。
今日はその血液検査の項目から、認知機能との関連が報告されているビタミンをご紹介します。
●ビタミンB1
アルコール多飲や偏食が続く事で散見されます。重症化すると、意識障害、眼球運動障害、運動失調(動きのコントロールの障害)等が主症状であるウェルニッケ脳症を発症する事があり、その85%がコルサコフ症候群という記憶障害に移行すると言われています。
●ビタミンB12
アルコール摂取や偏食、吸収障害を伴う消化器疾患後にみられます。特に過去に胃を切除された既往のある方は、吸収障害を起こしやすく欠乏のリスクが高いと言えます。B12欠乏の症状として、思考緩慢、記憶障害、注意障害などに加え、妄想等の精神症状がみられることがあります。
●ビタミンD
これまで因果関係は不明でしたが、2022年のアメリカタフツ大学の論文で、「脳組織中のビタミンD濃度が高い高齢者では記憶力や思考力の標準的な検査の成績が良い傾向がある」と報告されました。若年性認知症のリスク因子のひとつにもビタミンD低下が挙げられており、昨今、大事な栄養として注目されています。
これらは、ビタミンをとっていれば認知症にならないという意味ではありませんし、バランスよく食事をされている方は概ね心配はないと思いますが、 アルコールを多飲される方、胃がん等で過去に胃を切除した方、あまり食事が摂れていない方等は、気にかけておいた方が良いといえます。
おわりに
それぞれのビタミンが多く含まれる食品を載せますので参考にしてみてください。
ビタミンB1 豚ヒレ、豚もも、グリンピース、枝豆、玄米等
ビタミンB12 鰯、秋刀魚等の青魚、貝類、鶏レバー等
ビタミンD 鮭、秋刀魚、カレイ、きのこ類(しいたけは干す事でより増加)、鶏卵等
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。