みなさんこんにちは。
今日はご相談の多い認知症の告知について考えたいと思います。
私たちの診療現場では、ご家族様から 「本人がショックを受けるから認知症という言葉は使わず説明してください。」 「認知症である事を先生から本人に伝えて納得してもらいたい」等、告知について様々なご要望を頂きます。
告知については医師の間でも考えが分かれるデリケートな問題のようで、過去に認知症診療を行っている医師への告知に関する調査でも、「すべての患者に告知する」「本人にプラスになると判断した場合のみ告知する」「告知しない」と、対応は分かれています。
その背景に何があるのでしょう。告知するメリットとデメリットを考えていきます。
☆告知する事のメリット
・本人の「知る権利」が守られる
・原因がわかる事で治療への協力性が得られ、その先の様々な情報を共有し易い
・ご自覚がある場合は、原因が分かる事で症状が落ち着く事がある
☆告知する事のデメリット
・ご自覚がない場合、診断に納得出来ず治療を拒否したり、受診を勧めた家族との関係が悪化する事がある
・ ショックで引きこもってしまう場合がある
認知症は緩徐に進んでいくもので、特に周囲との接点がなければ、日常生活は当人にとって矛盾なく進む事も多く、ご自覚は持ちにくいといえます。
また、なんとなく違和感を感じている方でも「認知症」という言葉から連想するイメージがとても重いものであると、診断に納得されない事も理解できます。
人生100年時代。誰もがいつか認知症になるといわれても、自分事として置き換えるのは難しい事を理解し、個人を尊重した丁寧な説明が必要かと思います。
では、告知をされる診断の場面で、当事者やご家族から確認した方が良い事を説明します。
1. 認知症の原因疾患(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症等)
2.薬物治療の適応と選択肢
3.生活の中で続けるべき事、難しい事の確認
4.地域の社会資源に関する情報
認知症と診断されたからといって、明日からの生活が急に変わるわけではありません。また近年は、認知症に携わる医療・介護専門職も多くいます。診断、告知の後も、住み慣れた場所でその方らしい暮らしが続けられるよう、私たち医療・介護従事者も、継続した分かり易い説明に配慮したいと思っています。お気軽にご相談くださいね。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。