こんにちは。 今日は 高齢者と聴こえの問題 についてお話しします。
コロナをきっかけに、いまだにマスクを着用する習慣が残っている日本では、 高齢者でなくても 会話の聞き取りにくさを感じることがあるかもしれません。
WHOによる難聴の定義 は、 純音聴力検査で平均聴力が 25dB(ささやき声程度)以上の場合とされています。そして年齢以外に特別な原因がない場合を加齢性難聴 といいます。現在この基準に75歳以上の方の過半数 が該当するといわれています。 聴力の個人差はあっても、軽度の方も入れると、高齢者は加齢性 難聴が全くない方のほうが少ないといえます。
次に加齢性難聴の特徴についてご説明します。
① 高音が聴きにくい
若いうちは 音の高低で聴力に差はありません が、 年齢とともに 2000〜4000Hz の高音が聞こえにくくなる 傾向があります。 50音では 「サ行」「カ行」などの一部の子音がこれに該当します。
② 大声が聞きやすいとは限らない
加齢性難聴では、音の大きさに対する感じ方に特徴があり、 小さな音は聴こえにくい 一方で、 一定の音圧以上になると突然うるさく感じる という 「リクルートメント現象」 が見られます。
③ 時間分解能の低下
加齢性難聴では、 一つひとつの音の変化を正しく捉えて正確に聞き取る能力が低下 します。 これにより 早口の人の話が聞き取りにくくなる ことがあります。
次に加齢性難聴のある方とのコミュニケーションについて対話者が心掛けるべきポイントについてお伝えします。
① ゆっくり話す
難聴の方に 大きな声で話してしまいがちですが、 先に説明した リクルートメント現象 により、 大声すぎると逆効果 になることがあります。 まずは 話す速度を落とし、文節で区切るようにゆっくり話してみましょう。
② 口元を見せる
加齢性難聴の場合、個人差はあるものの聴力に大きな左右差がないことが多いといわれています。 そのため、片方の耳元に近寄るよりも、正面で口形を見せながら話すのが有効です。
③ 補聴器やスピーカーの使用
基本的には、個人の聴力レベルに併せて補聴器を作成、使用される事が推奨されますが、どうしても 使用を嫌がられる方もいらっしゃいます。 近年は 音質の良い置き型スピーカー や イヤホンタイプ のものもあるため、 会話の場だけ、使用時の負担感が少ない物を使用してもらうのも一案です。
最近では、 電話の際に使える骨伝導ハンドセット付きのシルバーホン や、 健聴者と難聴者の会話を文字や手話で通訳するサービス などもあります。
電話でのコミュニケーションに苦戦している方 や、 重度の加齢性難聴の方 はぜひ参考にしてみてください。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。