今日ご相談のあった事例を検討してみたいと思います。
事例は以下の通りです。
「年齢の割に食欲が旺盛で、デイサービスでお昼とおやつを食べて帰宅した16時過ぎにもデイからの持ち帰り弁当(夕食分)を食べてしまう事があります。その後もおやつを食べているので、食べすぎなのでは?と心配になります。これは認知症のせいなのか、デイで体を動かしているからお腹が空いているのか?どのようにコントロールすればいいでしょうか。 また、薬の服用に関して、薬を飲みづらい、飲みたくない場合、服用してもらえる良いアドバイスはありますか?」
上記2点のご質問について検討してみたいと思います。
食欲が旺盛であることは嬉しい反面、健康を考えると適度な量が求められますね。ご相談内容としては、デイサービスの日に食欲が増えるとのことでした。
仰っていらした通り、デイサービスの日に特に食欲が増すのは、運動量が関係している可能性もありますので、食事に制限が必要な病気が無い限りは、それほど心配する必要はないかもしれません。
ですが、身体的な介護が必要な場合においては、介助者側の負担が大きくなりますので、体重の増減幅を制限するために、お食事を制限していただいた方が良い場合があります。
もしも、認知症が原因で「食べたことを忘れている」とするならば、食べ物の量やタイミングを注意深く観察し、どのような時に食事を欲しているのか観察してみてください。また同時に、食事以外の活動で注意をそらすような声掛けも必要かもしれません。
その他の方法として、食べた後の食器やごみをすぐに片づけない(食べたことを思い出すきっかけづくり)、食べ物を目のつかないところに置く、冷蔵庫内でも目立たない場所に置いて管理する、買い置きはしないなど、具体的な対策を取ってみてもよいかもしれません。
まずは、薬を飲みたくない理由を確認してみましょう。
薬の量が多くて嫌なのか?薬自体を飲みたくないのか?そして、その薬は本当に必要なお薬なのかも含め検討する必要がありそうですね。
薬の量が多くなってしまうと、それだけでおなかがいっぱいになってしまい、薬自体を嫌がってしまう事があります。ポリファーマシーといって大量のお薬を処方されている、同じ効能のお薬が重複している可能性もありますので、お薬手帳を必ず持参して、薬局や主治医に薬の選定をしてもらう事も重要かと思います。
飲まなければ命に関わるような大事なお薬であれば、服薬ゼリーや濃い目の味付けの料理に少し混ぜることもおすすめです。漢方を処方されたが味が嫌で飲めなかったという事であれば、高濃度のカカオチョコレートを溶かして飲むと独特の風味がマスクされて飲みやすくなるという事を聞いたことがあります。また、アイスクリーム等に混ぜて飲んでいただくのも一つの手かもしれません。
抗認知症薬に特化してお話しさせていただくと、内服以外にパッチタイプ(外用薬)もありますのでご相談ください。
それでも難しい場合は、非薬物治療中心に切り替えることも検討に上がります。皆様もご存じの通り、認知症に関しては非薬物治療がとても重要になってきます。それがうまくコントロールできれば状態が落ち着くこともありますので、内服の継続に関しても抱え込まずにご相談することをお勧めします。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。