本日は、「受診拒否はなぜ起こる?」を考えてみます。
認知症を持つ方々の中には様々な理由で受診を拒否される方がいらっしゃいます。状況によって拒否の理由は異なりますので、病期別に考えます。
理由→ ご自身のもの忘れに少しばかり気づき始める方もいらっしゃる時期です。仲間内で「もの忘れがひどいのよ」「私も」なんて会話をされている方もいらっしゃるかもしれません。年齢的なもの忘れはあっても、漠然とした違和感…受診→診断されることによって不安が「確定」に代わってしまう。周りに知られたら…。そんな「不安」と「恐怖」が理由の一つになっている可能性が。
対応→ 受診は「健康チェック」という名目で、元気でいるための定期健診として組み込んでみます。問題なければそれでいい、何かあれば早めに対処するという立ち位置が大事。又、本人の為というより、「誰かのため」の方が納得しやすいことがあります。ご家族の安心のためにお願いするという方法も一つです。
理由→ 少しずつご病気が進行し、記憶障害や理解障害がみられてくる時期になります。半面、ご自身では困っていらっしゃらないことが多いため(病態理解低下)、状況理解が難しくなり、病院に行く必要性を感じておられないことがあります。また、病院での待合や環境変化に対する不安や恐怖感の増大、被害妄想的な思考が覆ってくる場合も。具体的な記憶を思い起こすことは難しくても、受診の際に嫌な気持ちになられたことがある方もいらっしゃるかもしれません。一概に拒否ということではなく、傷つかないための防御反応である可能性もあります。
対応→ 「薬をもらいに行く」「変わりないか確認しに行く」等とお声掛けすると良いかもしれません。事前に予定を伝え続けることで不安が募ってしまうことが多いので、通院の予定は直前にお伝えしましょう。普段通りに起きて食事をして「今から薬もらいに出かけるよ、準備してね」といった具合です。不安になる時間を極力減らす方向に努めてみてください。
理由→ この時期は心理的な負担だけでなく、身体的な負担が増えてくる時期です。予約をしていたとしても、診療内容によっては待ち時間が長くなることも。身体的負担が増え、感覚過敏(音や光、触覚に過剰に反応してしまう事)を引き起こし、強い負担を感じることも。また、進行とともにご自身の状況をうまく言語化できず不快感が強くなります。受診することの意味理解が難しくなる事があり、それらが大きな負担になると考えられます。
対応→ 可能な範囲で受診頻度を下げる。内服のみであればご家族代診でもOK。当院のような定期的な検査時には受診と検査を合わせる、混みにくい時間帯の受診を検討する(朝一)、などが挙げられます。
本日は便宜的に(認知症の)初期・中期・後期と分けてお伝えしましたが、もちろんきれいに分けられるものではありません。認知症のタイプやその方の特性、背景も大きく影響します。どうしても受診が難しい場合は、個別にご相談いただければその方に合った対応策を一緒に考えたいと思います。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。