皆様こんにちは。今日はいつもと趣向を変えてのお話です。
私が現職場で仕事をするようになってから数年が経ちました。病院での臨床とは異なるやりがいや、新たな発見、楽しさで日々過ごしております。
そこで、今日は日々私自身が感じていること、「認知症の進行について思う事」をお話します。
「箸休め」のような気持ちでお付き合いください。
ここ数年認知症業務に関わっていて思うのが、母親(認知症の本人)と息子の2人暮らしのご家庭の認知機能低下が緩徐なのではないか?という事です。
まず認知症診療をしていて、診察に来られるパターンとしては…
★もの忘れを自覚し、ご自身の意思で診察に来られる方
★免許更新で認知症が疑われた(上記体感0.5〜1割)
★家族の気づき「家族に指摘・心配される」(体感8-9割)
ご自身で気づかれる方の多くはSCI(自覚的もの忘れ)~MCI(軽度認知機能障害)です。ご家族に連れられて来院される方の多くがMCI~認知症の診断が多いのは事実なのですが、家族の構成によって、診断後の進行の速度に差があるような気がしています。
ご家族と受診される場合は、
①本人と子供
②本人と配偶者
③本人と親族(子供・親以外 兄弟を含む)
④本人と友人
という組み合わせが順に多いのですが(④に関してはかなり稀な例)、①の中でも特に「母親(本人)と息子の同居」の場合が、進行が比較的緩やかな印象なのです。
これを結論付けるためには、もう少し対象者を拡大し、進行が緩やかな群を検証していく必要はありますが、実際に半年ごとの認知機能検査だけではなく、ケアで関わっている皆さんでもそれを実感することが多いのです(もちろん親子間の関係性にも寄与しますが)。
ここでポイントなのは「父親と娘・息子」ではなく、「母親と息子」である点です。昭和を駆け抜けてきた母親世代は、専業主婦で家事と子育てを中心に生活されてきた方たちが多いと思います。
つまり、家族の誰よりも子供のことを考え、中心に生きてきた世代なのです。母は息子がどんなに大きくなっても「息子が困らないように」と、息子もまた母親としての役割を期待している場合が多いのでは無いかと思うのです。特に初期の場合では家事能力が維持されていることが多いので、それが可能なことが多いと思われます。
先程時代の話をしましたが、働く女性が増えた現代においては、ある程度子供(息子)の自立度は高くなっているかもしれません。ですが、母親と子供という関係性は時代を経てももちろん変わりません。母親と娘や、父親と娘、父親と息子ではこの概念が当てはまりにくいと感じる場合が多いのは、やはり母親という役割がそこに関係しているのでしょうか…。
やはりいつの時代も「母親」は特別なのだと改めて思わされるとともに、家族構成の変化や役割の変化により、この構図も変化が生まれてくる可能性がありそうですね。
以上のことからも、介護者側は「先回り介護をしないこと」、当事者は「役割をもって社会とのつながりを持つ」「成功体験を積む」この重要性を改めて痛感するとともに、「適切な知識を持って、誰かを思って、その人のためにできることを継続する」ことが大切であると思わされました。そして、そのような方たちを支えられるような仕組み作りと、啓蒙を続けていきたいと気づかされる発見でした。
今回は私自身が臨床で感じていることをお話しました。
個人的な見解であり、まとまりに欠く文章ではありますが・・・お読みいただきありがとうございました。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。