認知症ケア専門士によるコラム

「昨日は元気だったのに…」レビー小体型認知症の“波”

作成者: 前田順子先生|Jul 14, 2026 12:00:00 AM

もの忘れ外来で、ご家族から、

「昨日は普通に会話できていたのに、今日はぼんやりしているんです」

「調子の良い日と悪い日の差が激しくて…」

といったご相談を受けることがあります。

 

 

こうした“状態の波”が特徴としてみられる認知症のひとつに、「レビー小体型認知症」があります。

今日は、レビー小体型認知症の“症状の波”について考えてみたいと思います。

 

 

レビー小体型認知症(DLB)は、神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積し、脳幹(のうかん)や大脳皮質(だいのうひしつ)など、脳の広い範囲の神経機能に影響を及ぼす進行性の認知症です。

 

 

特徴としてよく知られているのは、「そこにないものが見える」幻視ですが、それと並んで大きな特徴のひとつが、“認知機能や身体状態の変動”です。

 

・ 午前中はしっかり会話できていたのに、午後になると反応が乏しくなる

 

・ 昨日は普通に歩けていたのに、今日は動きがぎこちない

 

・ 急に失禁が続いたかと思うと、落ち着く時期もある

 

など、“できる日”と“難しい日”の差が大きくみられることがあります。

波があることを知らないと「急に悪くなった?」「何か別の病気?」と不安になることもありますよね。

 

 

レビー小体型認知症における症状のムラの背景には様々な理由がありますが、そのひとつに自律神経の働きが乱れやすい点があります。

 

・ 起立性低血圧によるふらつき

 

・ 便秘

 

・ 尿失禁

 

・ 睡眠障害

 

・ 日中の強い眠気

 

などの身体症状も起こりやすく、それにより、日中の覚醒や注意力の水準が変動し、“頭がはっきりしている時間”と“ぼんやりしている時間”に差が出やすくなります。また、パーキンソニズム(動作の緩慢さ、筋肉のこわばり、小刻み歩行など)を伴う場合には、歩行の状態のムラが見られる場合もあります。

 

 

だからこそ、レビー小体型認知症のケアでは、“波があることを前提に生活を組み立てる”という視点が大切!

たとえば、

 

・ 調子の良い時間帯に予定を入れる(夕方以降に、診察や外出を詰め込まない)

 

・ 休憩を多めにとる

 

・ 失禁が増えた時に備えて、パッドや着替えを多めに準備しておく

 

・ “悪い日”を想定して、転倒しにくい環境を整える

 

など、悪い日を前提にスケジュールを組み、調子が良い時はそこに活動を足していくような考え方もよいでしょう。

 

 

認知症はひとくくりにされがちですが、その原因となるご病気の特徴はさまざま。原因となるご病気の特徴を詳しく知ることは、落ち着いて対応できることや、不必要な不安を手放すことにも繋がります。

レビー小体型認知症のある方のケアとして、参考にしてみてください。

 

 

 

 

■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。