みなさんこんにちは。今年も猛暑がやってきました。
熱中症対策が叫ばれる今日ですが、クリニックの診察で、「大して暑くないのでエアコンは使いません。」と、受診者さんから驚くべき発言が聞かれることは、比較的多くあります。
今日は、高齢者や認知症の人がエアコンを使わない理由とその対策についてまとめます。
皮膚感覚とは、皮膚に対する「触覚」「温度覚」「痛覚」等をいいます。
高齢者の皮膚感覚は、若い人に比べると低下し、特に温度変化を敏感に感じ取る事が難しいといえます。気温が上がった際にもその変化や暑さを自覚しにくく、エアコンの必要性を感じないことが考えられます。
認知症の人は記憶障害があり、新しい情報を覚えるのが難しいため、さっき見た天気予報の内容を覚えておくことが出来なかったり、情報をもとに判断し、エアコンを使うという判断に至らない場合があります。
また、昔の記憶が強いため、「この地域は、夏でも涼しい風が吹く」といった、昔の気候を今も強く認識されている場合があります。
認知症の人の中には、リモコンが正しく使えない場合があります。「冷房」と「暖房」を間違えたり、季節感のずれから、夏に暖房を使ってしまう、またリモコン自体の置き場が見つけられないこともあります。
高齢かどうかに関わらず、エアコンの人工的な風が苦手な人はいらっしゃいます。その不快感からエアコンに対して元々ネガティブな印象をもっている方は、より使われない傾向が見られます。
特に高齢者世代は、昔の記憶から、エアコン=贅沢品と感じている人も多い為、極力使わずに過ごそうと考えている場合も多いといえます。
若者の温度感覚で設定すると部屋が冷えすぎて、場合によってはコンセントから抜いてしまう事があります。26~28度くらいの高めの温度設定で、つけっぱなしにしておくことも効果的です。
スマートリモコンとは、外出先でもスマホのアプリをとおして室温を調整できるものです。基本的にはご本人にまかせつつ、外からスマホで室内の温度を確認し、室温が高ければ外からエアコンをつける事ができます。
「暑かったらエアコンつけてね」という声掛けの場合、皮膚感覚の低下により「暑く(感じ)ないからエアコンをつけない」という判断になります。
温度計や湿度計を置いて、「30度だから、熱中症のリスクがあります。エアコンをつけよう。」等、具体的基準を決めて頂くこともお勧めです。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。