「最近、人の名前が出てこなくて、これって認知症でしょうか・・・。」
もの忘れ外来でこのようなご相談を受ける事があります。
今回は、「固有名詞が出てこない」理由と、その対策についてお話ししていきます。
まず、みなさん「りんご」という言葉から、何をイメージしますか?
「赤い」「甘酸っぱい」「果物」など・・・様々なイメージが浮かぶと思いますが、これらは全て意味をもつ、りんごの特徴(属性)です。「りんご」のような普通名詞といわれるものは、これら多くの属性と固く結びついている為、思い出しやすいといわれています。
次に「田中さん」という言葉から、何をイメージしますか?
特定の人物を思い描くことはあっても、「りんご」のような多様なイメージと結びつきにくいかと思います。このように人の名前等、固有名詞は、脳の中で孤立したラベルのような言葉として扱われています。
意味との結びつきが弱いために、とっさに思い出せない状態が起きやすく、それらは「語健忘(ごけんぼう)」と呼ばれます。語健忘とは、記憶から消えたわけではなく、別のふとしたタイミングで思い出せることもしばしばあります。
認知症との関連でいうと、固有名詞が出にくい事自体は大きな心配がいらない事が大半です。一方で、普通名詞が日常的に思い出せない場合や、「りんご」と聞いてその意味が分からない時などは、言語の障害に関連する認知症が隠れている可能性もあります。
では、このことを踏まえて、日常的に固有名詞を覚えやすくする方法について考えます。
心理学には「ベイカーベイカー効果」という用語があります。これは、「ベイカーさん」という人名は覚えにくいのに、「パン屋さん(baker)」という職業で覚えると覚えやすいというものです。「パン屋さん」は普通名詞なため、「パンをこねる」「パンの香り」などの意味が結びついてくるからです。このように、固有名詞にイメージを作り出し、覚えやすくアレンジをする事はひとつの方法といえます。
たとえば…
この効果は、固有名詞(人の名前など)を覚える際に、その名前に意味やイメージを結びつけることで記憶しやすくする心理学的な方法です。
ベイカーベイカー効果を使った名前の覚え方の具体例
このように、人の名前に意味やイメージを持たせることで、脳内の記憶ネットワークが強化され、思い出しやすくなります。よろしければ日常生活で試してみてください。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。