「認知症」と聞くと、高齢の方の病気というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし65歳未満で発症するケースもあり、「若年性認知症」と呼ばれます。
若年性認知症の人には、仕事や子育て、住宅ローン、親の介護など、人生のさまざまな責任を担う現役世代の方も多く、ご本人やご家族が、「仕事を続けられるだろうか」「会社にはいつ伝えればよいのか」「経済的に生活していけるだろうか」など、多くの不安を抱えることがあります。
そんなときに相談できる専門職が「若年性認知症コーディネーター」です。若年性認知症コーディネーターは、ご本人やご家族からの相談を受け、医療・福祉・行政・就労支援機関・企業などと連携しながら、必要な制度やサービスを調整し、ご本人らしい生活が続けられるようサポートする役割を担います。
若年性認知症コーディネーターは、各都道府県・政令指定都市に配置されています。地域によって担当する医療機関や相談機関は異なりますが、身近な相談窓口として利用することができます。
認知症の診断がついたかかりつけの医療機関がある方は、主治医や医療スタッフに相談すると、そこから紹介頂けます。紹介が受けられなかった場合でも、お住まいの地域包括支援センターや、自治体の高齢福祉担当窓口に相談し、「若年性認知症コーディネーターにつなげてほしい」と伝えることで、地域の相談窓口を案内してもらえます。
主な支援内容には次のようなものがあります。
若年性認知症と診断されたからといって、すぐに仕事を辞めなければならないわけではありません。仕事内容や勤務時間を調整したり、職場の理解を得たりすることで、仕事を続けられる場合もあります。
しかし、こうした職場との調整をご自身やご家族だけで行うのは、専門的な知識も必要となり、容易ではありません。コーディネーターは、ご本人に代わって会社や関係機関との間に入り、スムーズな調整を図ってくれます。
また、万が一就労の継続が難しくなった場合でも、障害年金などの経済的な支援制度を案内したり、社会とのつながりを維持するためのボランティア活動など、新たな役割を探すお手伝いをしてくれます。
私自身も、過去に、クリニックで担当させて頂いた若年性認知症の方を若年性認知症コーディネーターへおつなぎしたことがあります。就労支援にご協力いただいたおかげで、その方は無事に定年まで勤務を続けることができました。さらにその後も、新たな就労や地域でのボランティア活動など、数年間にわたり手厚い支援が続いています。
症状や原因疾患は一人ひとり異なるため、全ての方が就労を継続できるとは限りません。しかし、若年性認知症コーディネーターは、医療だけでは支えきれない部分を補い、生活を支えてくださる心強い存在。「いざ困った時に相談できる場所がある」ーーまずはその存在だけでも知っていただけたら幸いです。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。