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お客様の声
2018年7月26日

ADAS-Jcog.は、患者さん、ご家族に対する客観的情報の提供によるコミュニケーションツールとして有益です。

金町脳神経内科・耳鼻咽喉科
内野勝行院長

認知症診療での心がけについて

 認知症診療の特徴は、患者さん本人、ご家族と医師との信頼関係が非常に重要であることです。診療の際、客観的な指標が無い場合、患者さん、ご家族にとって医師の説明はかなり曖昧に聞こえるものです。神経心理検査の点数やMRI画像などの定量的な指標と、検査中の反応など定性的な情報を統合してお伝えすることで、患者さんと医師との認識を可能な限り近付けられます。その結果、継続治療による変化を患者さんと共有でき、医師との対話が増えていきます。治療に前向きなだけでなく、定期的な神経心理検査を楽しみにされる方もいらっしゃいます。
 ご家族に対しても同様で、現代は情報が溢れており9割は過度な不安を持って来院されます。客観的な指標により、未治療時よりも状態が安定していることを伝えられると、不安も軽減させることができます。また、なぜ今この治療をしているのか一緒に考えることで、治療継続に向けた信頼関係を築けるよう心がけています。

心がけの背景について

 祖母がレビー小体病でした。担当医は毎回問診だけで“別に大丈夫ですよ、素敵なおばあちゃんですね”と、検査もせず先生から客観的で詳しい説明を頂戴できませんでした。その結果、悪化していく中での対応や、心構え、納得感の高い過ごし方が出来ず、家族は困る事が増え疲弊しました。医師になった後も、「物忘れで受診した患者さんには、とりあえず薬を飲んでみよう」という医師の診療を目の当たりにし、認知症診療に対しショックを受けてしまいました。あの頃と“何も変わってない!”と。その経験から、患者さんに対して自分の家族のような想いをしてほしくないと強く心に抱くようになりました。

神経心理検査の重要性について

 検査の中でも神経心理検査は、点数以外に患者さんの様々な情報を教えてくれます。問診では取り繕う患者さんも多いのですが、検査中は様々な本人の反応を見ることが出来ます。反応によって、これはもしかしたら…と思い当る節が把握出来ますし、各項目の点数も加味し、より現状に近い情報を得られます。検査としてHDS-RやMMSEは初診のスクリーニングには良いですが、簡易的ですので目安にしかならず、点数の意味する内容のブレ幅は大きいです。診断前に少しでも違和感がある場合は、より深い検査をすべきです。また、HDS-Rの1点の違いは1/30と大きいですが、1点の再現性が低いため、確定診断後の経過観察の指標としては不向きです。その様なHDS-RやMMSEに対して、より精緻な検査が可能で、特に経過観察で有用なのが世界基準とも言える信頼性を備えているADASです。簡易検査とは異なり事前学習が難しく、私生活に関わる11の項目が備わっているため点数だけではない多面的な評価ができ、見逃されやすい情報を把握できます。
 当院では、ADASに関して初診後に改めて予約を取っていただき実施しています。検査は看護師にお願いしていますが、検査中の反応も共有してもらうことで、問診・画像・心理検査の点数だけでは見えない患者さんの状態を示す情報として活用しています。

診療におけるADAS活用の価値とは

 患者さん、ご家族の継続治療のモチベーションや診察の満足度向上に繋がっています。初診の簡易検査でよく言われるのは、こんな検査で何がわかるのですか?と、患者さんは馬鹿にされていると感じるようですが、ADASではきちんと検査をされていると感じられるようです。周辺症状と重なる内容も多く、ご家族も実感が持てるのでしょう。
 また服薬治療に対しても、進行抑制に効いていると可視化されることが安心感に繋がっています。客観的な根拠もお見せし話しますので、患者さん、ご家族も引き続き頑張ろうと前向きになります。多くのご家族が不安の中で来院される中、ADASの活用で、医師と患者さん、ご家族が一緒になって前向きに考えられるようになることが価値ですね。信頼関係に繋がっていますので、満足度も向上していると思います。経営視点ですと、ADASの実施は診療報酬450点という認知症領域で数少ない収入源です。患者・家族満足度を高めつつ経営にも寄与する検査として重宝しています。

まだADASを活用されてない先生方へ

 簡易検査は白黒テレビでADASはカラーテレビのような印象です。白黒では一目でわかる物は少ない。カラーだと多くが鮮明にわかりますよね。お読みいただいている先生の現場でも、まず実施していただき、ADASの有用性を体感してみてください。当院では検査者が慣れてきて件数を増やせてきました。今後認知症患者は増えることは明確です。少しでも多くの患者さん、ご家族が認知症と前向きに付き合えるようになればと思います。

今後の認知症診療のあり方について

 医師の経験や知見による助言も大切ですが、患者さん、ご家族が納得して治療に参加することが一番大切です。今後増加する団塊の世代の高齢者は、ネットなどで多くの情報に触れています。今まで以上に診療に対して口をはさむと思います。客観的な情報提供が少なく、医師が説明力を高められない施設は患者さん、ご家族から選ばれなくなってしまうでしょう。今後も選ばれる施設、満足度の高い診療を目指すのであれば、個々の患者さんに合った診療と対話をすることが最重要だと思います。メディアにより過度に不安を煽られている現状に対し、私個人としても、多職種の医療・介護従事者が正しく患者さんやご家族へ対応が出来るように、講演などを実施し、診療の場以外でも少しでもお役に立てるよう取り組んでおります。

金町脳神経内科・耳鼻咽喉科
内野勝行院長

経歴:
帝京大学医学部医学科卒業、帝京大学医学部附属病院、初期研修医、帝京大学医学部附属病院、後期研修医、帝京大学医学部附属病院、神経内科非常勤医、金町脳神経内科・耳鼻咽喉科 開設

資格:
日本内科学会認定医、認知症サポート医、緩和ケア認定医、ボトックス治療指定医、日本神経学会会員

金町脳神経内科・耳鼻咽喉科

住所:東京都葛飾区金町6-4-3 金町メディカルモール401
標榜:脳神経内科、耳鼻咽喉科
休診:水曜・土午後・日曜・祝日