認知症ケア専門士によるコラム

いつから始める?デイサービス

作成者: 日本テクトシステムズ株式会社|Dec 16, 2025 12:00:00 AM

今日は、介護保険を利用した通所サービスの利用タイミングについて考えてみます。

 

介護保険のサービスを受けるには、お住まいの自治体で申請を行い、「要支援1〜要介護5」の等級が認定される必要があります。認定を受けると、通常1割負担(所得が高い高齢者は2割または3割負担)でサービスを受けることができ、その内容は通所、訪問、物品レンタルなど多岐にわたります。その中でも「ご自宅から日帰りで通う送迎付きのプログラム」が通所サービスです。

 

 

代表的な通所サービス

 

通所サービスには、主に2つの種類があります。

  • デイサービス(通所介護):入浴、食事、レクリエーションなどを通じて自立支援や介護負担の軽減を図ります。7〜8時間の終日利用が主流です。
  • デイケア(通所リハビリテーション):専門スタッフの指導のもと、心身の機能維持や回復、自宅での日常生活への復帰を目指します。3〜4時間程度の利用が主流です。

 

 日常生活全般の支援→デイサービス

 

 心身機能の支援  →デイケア 

 

とまとめられます。

 

 

通所サービスの利用開始の目安

 

認知症と診断された際、通所サービスを始めるべきかどうかは個人によります。

 

例えば、同じ初期の認知症の方でも、その原因疾患により生活における困りごとが異なりますし、日々の過ごし方やご性格、介護のマンパワー、ご家族関係なども異なります。「認知症だから一律にデイに行く」のではなく、現在の困りごとを解決・改善する方法の一つとして通所サービスがあると考えましょう。

 

次に、それぞれの通所サービス利用の開始となる目安について例を挙げます。

 

デイサービス

  • 入浴ができなくなった
  • 一人で食事が摂れない
  • 生活リズムが乱れ、日中寝てばかりいる
  • 不安や孤独感が強く、人と話すと落ち着く
  • 妄想・幻覚がある
  • 家族の介護負担が大きい、関係性が良くない
  • 趣味としての社会交流が継続できなくなった

 

デイケア

  • 頻繁に転倒する、またはそのリスクがある
  • 骨折や入院直後で身体機能を向上させたい
  • 家族の介護負担が大きい
  • 趣味としての運動が継続できなくなった

 

これらの条件を目安に選択していただいても良いと思います。但し、周囲が勧めた場所に対しご本人が拒否されることは多くあります。そのような場合、無理に説得することは推奨されません。

 

周りから見て、その場所がその方にあっていると判断できる場合は、同じデイサービスの異なる曜日に参加してみたり(参加者の年齢層や雰囲気がかわる為)、類似するサービスを提供してくれる他の場所を探されると良いでしょう。

 

長く通う場所ですので、主治医やケアマネジャーさんと相談しながら、焦らずに現状に合った場所を探されるのがよいかと思います。

 

おわりに、通所サービスは集団のサービスです。多くの人が取り組める一般的な内容が中心で、どんな方でも安全に利用できるように設計されているため、時に「できることまで、カバーしてくださる」こともあります。それらが当たり前にならないように、ご自宅では、引き続きできることを行って頂くという視点を忘れずに、ご利用いただくのが良いかと思います。

 

 

 

 

■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。