レビー小体型認知症は、認知症の原因疾患のうち約4〜5%を占め、アルツハイマー型認知症、血管性認知症に次いで3番目に多い疾患です。
今日は、レビー小体型認知症について、アルツハイマー型認知症との違いも交えながらご説明します。
レビー小体型認知症の原因は、脳内にレビー小体という異常なタンパク質(主にα-シヌクレイン)が蓄積することです。レビー小体が脳の神経細胞の中に形成され、神経細胞の機能が障害されることで発症します。
有名なパーキンソン病では脳幹(のうかん)にレビー小体が集まるのに対し、レビー小体型認知症では大脳皮質(だいのうひしつ)の、中でも後頭葉を中心に集まることが特徴です。
レビー小体型認知症の発症前には、以下のような特徴的な症状が見られることがあります。
次にレビー小体型認知症の主な症状についてご説明します。
・幻覚(幻視):幻覚とは実際には無い感覚を知覚することですが、レビー小体型認知症に特徴的な幻覚は主に「幻視」です。「部屋に知らない人がいる」「ベッドに子供がたくさんいる」「犬がいる」など、ご本人に、はっきりとに見え、それらはあまりにリアルに感じられる為に、実際に話しかけたり、「幻の来客」にお茶を出すなどの行動が見られることもあります。
・妄想:アルツハイマー型認知症の場合、記憶障害に起因した物取られ妄想(例:誰かが財布を盗んだ)が多い一方、レビー小体型認知症の場合は「家族が偽物である」といった誤認妄想や「夫が誰かと浮気をしている」といった嫉妬妄想など、視覚的な処理の問題や幻覚に関連した妄想が特徴です。
・パーキンソン症状:レビー小体の集まる場所や広がりによって、パーキンソン症状を併発する場合があります。
・自律神経症状:立ちくらみ、めまい、便秘、尿失禁、失神など、自律神経のコントロールの問題で起こることがあります。
これらの症状は、日、時間帯によって調子に波があるのが特徴です。穏やかで表情がはっきりしている時、起きているがぼんやりしている時など、症状の変動があるのもレビー小体型認知症の特徴です。
認知症というと、もの忘れのイメージがあるかと思いますが、レビー小体型認知症では、もの忘れはあっても、初期においてはアルツハイマー型認知症ほど目立たないこと、その一方で特徴的な前駆症状や幻視などが比較的早くみられることが、診察でのアルツハイマー型認知症との鑑別ポイントとなります。
また、薬物治療において、レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症に最も多く選択される治療薬は同じものですが、生活の中での困りごとや認知症ケアのポイントはかなり異なりますので、しっかり鑑別診断をして、それぞれの認知症に即した対応をしていくことが重要です。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。