認知症の告知について
2025.03.18

みなさんこんにちは。
今日は、ご相談の多い認知症の告知について考えたいと思います。
認知症外来等の診療現場では、ご家族から 「本人がショックを受けるから認知症という言葉は使わないで下さい」また一方で 「認知症である事を先生から本人にはっきり告知し納得してもらいたい」 等、告知については様々なご要望を頂きます。
実際告知については、医療従事者にとっても考えが分かれる問題かと思いますが、 認知症を告知 する事のメリット には以下のようなものが考えられます。
【メリット】
・当事者の「知る権利」が守られる
・当事者にご自覚がある場合や症状によっては原因が分かる事で多少安心し症状が落ち着く場合がある
・原因を明らかにする事で治療への協力性が高まり選択肢が拡がる
・その先の情報を共有し易い
一方デメリットには以下のようなものが考えられます。
【デメリット】
・本人のご性格や、認知症という言葉にもつイメージによっては、強いショックを受ける
・本人が診断に納得出来ず、その後の治療を拒否したり、受診を進めた家族との関係が悪化する事がある
基本的には、どんなご病気も、当事者に告知した上で治療を開始する事が望ましいですが、 認知症は、今のところ完治するご病気ではないことや、なかなか自覚しにくい側面も有る為、ご本人の精神状態、ご性格、周囲の方との関係性も踏まえた上で、慎重な判断と丁寧な説明が大切かと思います。
それでは、告知をされる際に、ご家族から医療機関側に確認していただきたい事を以下にあげます。
~確認したい5つの事~
1.認知症の原因疾患と重症度
2.主な症状と日常生活への影響、一方でどんな事は保たれるのか
3.治療薬の選択肢とメリット、デメリット
4.日々の生活で周囲が配慮すべきこと
5.利用可能なサービスの確認
診断があったからといって、明日の生活が急に変わる訳ではありません。
また、認知症はその原因疾患や重症度によって気を付けるべきことが異なりますので、まずはこの5つを確認し、明日からの暮らしに役立つ情報を受け取っていただく事が大切かと思います。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。

医療法人バディ 認知症部門部長
前田 順子(言語聴覚士・認知症ケア専門士)
2005年から都内の急性期病院に言語聴覚士として勤務。認知症疾患医療センター内での、入院ケア、認知機能検査、認知症カフェの運営等、認知症のある方やご家族のケアに携わった豊富な経験をもつ。
2020年より医療法人バディにて認知症部門立ち上げ。コミュニケーションを主軸とした認知症の非薬物療法に取り組む。ICTを活用した居宅支援「オンライン認知症ケアプラス®」、スターバックスとのコラボによる認知症カフェ「ウェルビーイング☆カフェ鎌倉」等の企画・運営を担当。

医療法人バディ https://buddymedical.jp/
2019年設立。横浜市、鎌倉市に3つの脳外科クリニックと認知症部門を展開。2023年より、居宅介護支援事業、訪問リハビリ。2024年より訪問看護部門を開設。