脳の取扱説明書~前頭葉の活用術

2026.08.25

1日のスケジュールの算段、買い物での決断、イライラの深呼吸やわくわくの高揚感。これらはすべて脳の「前頭葉」のお仕事です。自分らしく生活するために「選択」「決断」し行動ができるのは、「前頭葉」という司令塔がいるからです。

今日はこの司令塔の「守り方」と「鍛え方」についてお話ししたいと思います。

 

■ 前頭葉はサッカーチームの「監督」?

脳の司令塔(前頭葉)は、「思考・判断・行動の抑制・社会性」といった、生活に大切な役割を担っています。この役割を人間社会に落とし込んで考えてみましょう。

サッカーチームを想像してみてください。前頭葉はチームでいえば「監督」の役割を担っています。ピッチ全体を見渡し、選手たちが力を発揮できるように状況を把握し、「今は攻める時」「今は守る時」と作戦を指示するのが監督の役目です。また、試合の勝敗を背負って責任を取るのも監督です。

ただ、監督が休みなく働き続けた場合はどうでしょうか?睡眠不足やストレスが続けば、的確な指示が出せなくなります。「前頭葉」もまさに同じで、脳の他の部署の取りまとめ役をするため、特にエネルギー消費が激しくなります。つまり、無理が続くと本来の力を発揮しにくくなり、機能が低下しやすくなると考えられています。

 

■ 司令塔の「過労」を防ぐ!前頭葉の守り方と鍛え方

では、前頭葉の過度な疲労を防ぎ、健康な脳でいるためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。前頭葉の機能を維持するための習慣やメンテナンス方法を考えてみましょう。

【生活習慣によるメンテナンス】
 デジタルデトックス:ついつい触ってしまうスマホ…ですが、情報過多が前頭葉を疲弊させる原因の一つになります。1日の使用時間を決める、あえてスマホを持たずにお出かけする等、スマホから離れた生活で脳を休めましょう。


・ マインドフルネス:よく耳にしませんか。私のスマホからも時々促される「マインドフルネス」。え、君が教えてくれるの?と思ってしまうこともありますが。1日5〜10分程度。呼吸だけに集中します。前頭葉の過活動を鎮めることで、情報処理能力を回復させます。

 

前頭葉はマルチタスク等でもっともエネルギーを消費するとされています。常に休んでいては働かなくなってしまいますが、正常に働くためには休むことも大切です♡



【食生活でのサポート】

・ 安定した血糖値:血糖値の乱高下は、集中力を著しく低下させます。食事で血糖値が上がるのは当然のことですが、この上昇を緩やかにするため、ベジファーストや低GI食品(玄米、ナッツ等)の利用もよいかもしれません。


・ 十分な水分摂取:脳の重量の8割以上が水分です。水分不足は血流を滞らせ、「集中力」と「判断力」を低下させます。適切な水分摂取は季節を問わず大切です。水分摂取もぜひ意識的に行ってください。



脳への刺激を増やす】

・ 新しいことへの挑戦:新しい趣味、今まで気になっていたけれどやったことがないこと等で、脳を活性化します。

・ 計画を立てて実行する:旅行や家族との団らん、友人との飲み会等、時間や場所等を設定し、それを実行しましょう♪

・ 日記を書く:インプットした様々な知識や経験をアウトプットする作業がとても大切です。

前頭葉は「休ませること」と「程よく使うこと」のメリハリをつけるのがポイントです。しっかり休んで充電できたら、今度は心地よい刺激で少しずつ脳のエンジンを回していきましょう♪



【コミュニケーションと社会活動】

・ ボランティア:有償・無償を問わず、人との関わりを第一に考える場合、このような活動も大切です。「自分の役割」を持つこと。他者からの期待に応える責任感は、前頭葉の実行機能を強力にします。

・ 対面での会話:家族でも構いませんが、電話だけでなく、直接対面し、表情やジェスチャー等、非言語でのコミュニケーションを含めて読み取る力が前頭葉を鍛えます。


 

と、ここまでいろいろ書いてきましたが…

大切なのは、「前頭葉は常に変化をする力を持っている」ということです。もちろん加齢とともに、その役割や能力の発揮方法も変わってきます。ですが、その機能をよく知り、味方につけることで、人生の質を高めてくれる心強い「パートナー」になってくれるはずです。そして、前頭葉の仕組みを知る事は、ひいては認知症のある方への深い理解にもつながります。

皆様、どうぞ、前頭葉と仲良く暮らしてくださいね♪

 

 

■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。

廣島先生

医療法人バディ 認知症部門副部長 

廣島真柄(言語聴覚士・認知症ケア専門士)

都内の総合病院に言語聴覚士として15年以上勤務。主に急性期病院で脳卒中、神経難病の患者のリハビリを担当しながら、認知症疾患医療センターでもの忘れ外来の検査や入院患者の認知症ケアを担当。2021年に医療法人バディに入職。コミュニケーションを主軸とした認知症の非薬物療法に取り組む。

バディ

医療法人バディ https://buddymedical.jp/

2019年設立。横浜市、鎌倉市に3つの脳外科クリニックと認知症部門を展開。2023年より、居宅介護支援事業、訪問リハビリ。2024年より訪問看護部門を開設。