聴力の重要性と加齢性変化~難聴は認知症の危険因子~
2026.04.07
✅何度も聞き返す
✅家族や仲間と会話をしても浮かない顔をしている
✅TVの音が大きくなった
このような変化に気づくことはありませんか?
聴力は感覚器官の一つですが、加齢にともない、この感覚器官も低下することはご存じかと思います。ですがその聴力、加齢性変化だからと言って見てみぬふりをしていませんか??
急激に聞こえが悪くなるようなことがあれば、医療機関を受診→治療の流れになりますね。でも、年齢とともに徐々に低下していく聴力低下には気づきにくく、「年齢的なもの」と諦めがちになってしまうのも事実です…。
今、その緩徐な聴力低下が認知症をもたらす一つの要因となる事が、国際的にも広く認知されるようになっています。ですが、それは同時に「予防可能な」認知症の危険因子なのです。
では、聴力低下に伴って認知機能が低下する要因とはいったい何なのでしょうか。
1.会話の減少
聞こえにくくなると、音は入ってきても「言葉」として明瞭に理解しにくくなります。
はじめは
「もう一回言って?」
「今なんて言った?」
と聞き返します。
しかしそれが続くと、周囲から「何度聞くの?」と心ないひとことを受けることもあります。すると次第に、
「どうせ聞こえないし」
と、会話そのものを避けるようになってしまいます。
特に、外出先や賑やかな場所では雑音の影響でさらに聞き取りにくくなり、外出や集まりを控えるように…。
こうした社会的孤立は、脳への刺激を減少させ、認知機能低下のリスクを高めることが知られています。誰かと話をすることは、余暇活動や情報交換をする場になるだけでなく、記憶・注意・理解・感情処理など多くの認知機能を同時に使う高度な活動なのです!
2.脳の負担
聞こえにくい状態では、音を理解するために多くのエネルギーを使います。
加齢性難聴は耳の老化ということになります。耳のいちばん奥にある内耳には、音を電気信号に変える「有毛細胞」があります。この細胞は年齢とともに減少し、傷むと元に戻らないとされています。そのため、音が脳までうまく伝わらなくなります。
つまり、音を処理するセンサーが減り、聞き取るために多大なエネルギーを使ってしまうことから、脳が余分に動いて、認知的な負荷が増えます。
もっとわかりやすくお伝えすると…
『聞き取る音がクリアな映像ではなく、モザイク状態で届く』
このモザイクを取り除いて聞き取ろうとすると、疲労も強く感じ、「もういいや」という気持ちになってしまう…わからなくないですよね。
このような事態を最小限にするためには、やはり早期発見、早期治療が大切です。
耳鼻科への道のりが遠い…とお感じの方。家で簡単にできるセルフチェックも載せておきますので、ぜひ参考にしてみてください
■ 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会:聴こえ8030運動
■ みんなの聴能力チェック→アプリで手軽に聴力チェック
そして、聴力低下がうかがわれる方との会話では、以下の点に留意してみてくださいね。
✅話し始めには、話し手側に注意を促す
✅騒音はできるだけ減らす
✅口形をはっきりと、ゆっくり話す
✅適宜筆談も利用する
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。
医療法人バディ 認知症部門副部長
廣島真柄(言語聴覚士・認知症ケア専門士)
都内の総合病院に言語聴覚士として15年以上勤務。主に急性期病院で脳卒中、神経難病の患者のリハビリを担当しながら、認知症疾患医療センターでもの忘れ外来の検査や入院患者の認知症ケアを担当。2021年に医療法人バディに入職。コミュニケーションを主軸とした認知症の非薬物療法に取り組む。
医療法人バディ https://buddymedical.jp/
2019年設立。横浜市、鎌倉市に3つの脳外科クリニックと認知症部門を展開。2023年より、居宅介護支援事業、訪問リハビリ。2024年より訪問看護部門を開設。
