甲状腺機能と認知症について

2026.02.10

今日は、甲状腺機能と認知機能の関連について少しお話しさせていただきます。

 

今までも治療可能な認知症のお話をさせていただいたことはありますが、甲状腺機能との関連についてはお話したことがなかったと思いますので、よろしければお付き合いください。

 

 

認知機能検査をお受けいただくときに、採血も同時にさせて頂く事が多いかと思います。一般的な採血項目に加えて、認知機能に影響を及ぼす可能性のある病気が隠れていないかをチェックするためです。

  • ビタミン
  • 甲状腺ホルモン

この2種類を採血検査に追加して、数値に問題がないかチェックします。

 

 

甲状腺の役割

甲状腺は首の前(喉仏のすぐ下あたり)にある小さな臓器(重さが20g、4〜5㎝程度の大きさ)で、甲状腺ホルモンを分泌しています。通常は外側から見えることはありませんが、炎症を起こすと腫れるなどの違和感があるかもしれません。

甲状腺から出されるホルモンは、下記のバランスに関与しています。

  • 代謝(体や脳のエネルギー活動)
  • 神経の発達や働き
  • 脳内の情報伝達物質(ドーパミン、セロトニンなど)

具体的には、体温や心拍数の調節、精神や自律神経の働き、骨の代謝などが挙げられます。

採血結果の項目では、TSH(甲状腺刺激ホルモン)とFT4(遊離サイロキシン)の数値をご確認ください。

 

 

甲状腺機能低下で一番多い疾患としては橋本病が挙げられますが、こちらは自己免疫疾患で、誤って甲状腺を攻撃してしまう病気です。それ以外にも、内服の影響で甲状腺の機能が低下することがあります。

 

 

甲状腺ホルモンの低下により、記憶力の低下/判断力・集中力の低下/無気力/抑うつ/言葉が出にくい/動作が遅くなる等の症状が見られることがあります。これらが認知症の症状と似ている事から、症状だけで簡単には判別が難しくなります。

少し話はそれますが、甲状腺機能低下症を長期間放置してしまうと、脂質異常症や動脈硬化、心臓血管疾患に影響することもあると言われています。認知機能の低下だけでなく日常生活の質を大きく低下させてしまいますので、早めの対応が大切です。

 

 

甲状腺機能低下が原因だった場合の治療法

採血結果が基準値を下回り、甲状腺機能の低下が原因と考えられる場合は、レボチロキシン(チラージン)の内服でこれらのホルモンを補います。改善には数週間~数か月を要し、実際に効果が表れているか客観的な評価が必要にもなりますので、定期的な採血や認知機能評価が大切です。また、甲状腺機能低下症が改善しても認知機能の低下が変わらず改善がみられない場合は、不可逆的な認知症が合併している可能性もありますので注意が必要です。

 

 

■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。

廣島先生

医療法人バディ 認知症部門副部長 

廣島真柄(言語聴覚士・認知症ケア専門士)

都内の総合病院に言語聴覚士として15年以上勤務。主に急性期病院で脳卒中、神経難病の患者のリハビリを担当しながら、認知症疾患医療センターでもの忘れ外来の検査や入院患者の認知症ケアを担当。2021年に医療法人バディに入職。コミュニケーションを主軸とした認知症の非薬物療法に取り組む。

バディ

医療法人バディ https://buddymedical.jp/

2019年設立。横浜市、鎌倉市に3つの脳外科クリニックと認知症部門を展開。2023年より、居宅介護支援事業、訪問リハビリ。2024年より訪問看護部門を開設。