高齢者の入院で家族が気を付けておくべきポイント
2026.06.02
こんにちは。本日は、臨床中にご質問いただいた内容で、皆様にも共有できそうな以下の件についてお話させていただきます。
「母親が1週間、目の手術で入院します。入院中は安静の必要はなさそうですが、1週間の入院となると、その後の生活(一人暮らし)が心配です。スムーズに日常生活に戻るために、入院前や入院中にできることはありますか?」
高齢のご家族の入院は心配になりますよね。そこで今回は「高齢者の入院で家族が気を付けておきたいポイント:入院前から退院後まで」というテーマでお話ししていきます。
入院は病気を治すための大切な時間ですが、高齢者にとっては大きな環境の変化でもあります。入院生活によって体力や生活能力が低下してしまうこともあり、これを「入院関連機能障害(HAD)」と呼びます。病気が治っても、退院後の生活に影響が出てしまうこともあるため、入院前から退院後まで、少し意識して関わることが大切です。
★ 入院前
まず大切なのは「普段通りの生活を続けること」です。入院前だからといって特別な準備をする必要はありません。医師から制限がなければ、散歩や趣味活動などもこれまで通り行っていただいて問題ありません。体力は“貯金”のようなもの。日頃の活動が、入院後の回復にもつながります。
また、入院時には看護師から生活状況について質問されることがあります。ご家族が次のようなことを把握しておくと、医療スタッフも普段の生活をイメージしやすくなります。
- 普段飲んでいる薬
- 歩行や入浴などの日常生活の様子
- 家事や外出などの生活状況
こうした情報は、適切な看護や退院支援につながります。
★ 入院中
入院中に注意したいのが、先ほどお伝えした「入院関連機能障害」です。入院生活では安全管理のため上げ膳据え膳になりやすく、どうしても活動量が減ってしまいます。安静が続くと筋力は1日で約2~3%低下し、1週間では10~15%失われるという報告もあります。
ご質問者様のお母様は目の手術とのことですので、視力の変化や視野の問題には注意が必要ですが、特に制限がなければ「できるだけ座って過ごす」ことを意識してみてください。面会の際には、ご家族と院内を少し歩くのも良いですね。
また、退院後の生活を見据えて、看護師の協力を得ながらご自身で服薬管理を行うこともひとつの方法です。
さらに注意したいのが「せん妄」です。病院は共同生活の場のため、音や光などで睡眠が妨げられることがあります。こうした環境の変化によって一時的に混乱が起こることもあるため、日中はできるだけ起きて活動することを意識してみてください。
★ 退院後
退院後は、服薬や点眼など入院前とは少し生活が変わることもあります。心配だからといって家族が先回りしすぎてしまうと、かえって活動量が減り、生活能力の低下につながることがあります。
おひとり暮らしの場合は、退院直後にご家族が自宅に1泊したり、就寝まで付き添うだけでも安心につながります。ご家族の家に宿泊することを考える方もいますが、環境が変わることで混乱が強くなる場合もあります。
デイサービスの再開なども含めて、できるだけ普段の生活環境を保ちながら、元の生活リズムに戻していくことが大切です。
入院は、ご本人にとっても、ご家族にとっても、とても大きな出来事です。一方、入院前から退院後までを少し意識するだけで、その後の生活は大きく変わることがあります。ご家族のちょっとしたサポートが、安心して日常生活に戻るための支えになるかもしれません。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。
医療法人バディ 認知症部門副部長
廣島真柄(言語聴覚士・認知症ケア専門士)
都内の総合病院に言語聴覚士として15年以上勤務。主に急性期病院で脳卒中、神経難病の患者のリハビリを担当しながら、認知症疾患医療センターでもの忘れ外来の検査や入院患者の認知症ケアを担当。2021年に医療法人バディに入職。コミュニケーションを主軸とした認知症の非薬物療法に取り組む。
医療法人バディ https://buddymedical.jp/
2019年設立。横浜市、鎌倉市に3つの脳外科クリニックと認知症部門を展開。2023年より、居宅介護支援事業、訪問リハビリ。2024年より訪問看護部門を開設。
