トラベルドクターについて
2025.07.08

今日は認知症の本題から少しそれるかもしれませんが、最近目にした「トラベルドクター」について、少しお話します。
皆様は「トラベルドクター」という言葉を聞いたことがありますか?いくつかのメディアで取り上げられていることもあり、ご存じの方も中にはいらっしゃるかもしれません。
トラベルドクターとは、病気を理由に旅行をあきらめてしまう事がないように、安心、安全、快適に旅行ができるような環境づくりに全力で取り組む、医師の作った旅行会社です。
この会社を起業したのは医師であり、トラベルドクターの伊藤玲哉さん。医師として病院に勤めながら、旅行に行きたくても行くことのできない終末期の患者さんを何度も見送った経験から、「病院ではできない医療を提供したい」との思いで、会社を立ち上げられたそうです。素敵ですね。
日々の臨床の中で、医療の現場からもどかしく感じていることを、実際にこのようなアクションを起こし形にしている方がいる。この事に深く感銘を受け、たくさんの方々に知って頂きたいと、今回こちらに書かせて頂きました。私は一度も伊藤さんにお会いしたことはありませんし、面識もありません。ですが、認知症診断・ケアに関わっていても、同じような悩みを打ち明けられることが多々あります(「旅行に行きたいけどいけない等」)。特に温泉地などは、旅館で迷う、脱衣所での更衣で迷う、他人のものと自分のものとの判別が難しく、違う人の着物を着てしまう、蛇口の操作がわからないなど。同性であればフォローできるものの、ご夫婦やパートナーとの温泉旅行は非常に難しいですよね。そんな時にお手伝いいただくこともできるのではないでしょうか。
病気は決して特別なことではなく、その方の人生で起こりうる出来事の一部です。病気が理由で人生が変わるのではなく、日常の当たり前の生活を、いつも通りに送れるようなサービスがもっともっと増えることを願いながら・・・
すべての人に当たり前の生活を送る権利がある。そんな優しい世界を、皆様とともに作っていけるよう、今後も努力していきたいと思います。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。

医療法人バディ 認知症部門副部長
廣島真柄(言語聴覚士・認知症ケア専門士)
都内の総合病院に言語聴覚士として15年以上勤務。主に急性期病院で脳卒中、神経難病の患者のリハビリを担当しながら、認知症疾患医療センターでもの忘れ外来の検査や入院患者の認知症ケアを担当。2021年に医療法人バディに入職。コミュニケーションを主軸とした認知症の非薬物療法に取り組む。

医療法人バディ https://buddymedical.jp/
2019年設立。横浜市、鎌倉市に3つの脳外科クリニックと認知症部門を展開。2023年より、居宅介護支援事業、訪問リハビリ。2024年より訪問看護部門を開設。