レビー小体型認知症の嗅覚障害について
2025.12.02
こんにちは。本日はレビー小体型認知症(DLB)の嗅覚障害についてお話します。臨床場面などでご質問いただくこともあるのですが、実際にご相談いただいた内容に即してお伝えしていこうと思います。
『家族に、寝言や叫びがあり、レビー小体型認知症の疑いがあります。手足のバタつきがあるかを観察中です。以前、レビー小体型認知症には「嗅覚症状」が現れやすいと書かれておりました。匂いを感じにくいのか、匂いに敏感になるのかどちらなのでしょうか?』
レビー小体型認知症による嗅覚症状は、
「においを感じにくくなる」が正解です!
この嗅覚障害は、認知症状に先行して現れると言われており、潜在的なレビー小体型認知症を示唆する指標としても考えられています。この嗅覚障害は、レビー小体という異常タンパクが、脳の嗅神経を司る部分に沈着してしまう事で起こります。においを感じにくくなることから、進行していくと「嗅覚脱失」という状態になり、においを全く感じなくなることもあります。
においを感じにくくなることで起こる弊害としては
- 食事をおいしく感じられなくなる → 食欲が低下する → 体重が減る → 体力が低下する
- ガス漏れなどの危険な臭いに気づきにくい → 命の危険も!!
等が挙げられます。
食品の彩りを工夫する、ガスを利用するときは人がいる時に、といった対策を取っていただくことも大切かと思います。
また、疾患は異なりますが、アルツハイマー型認知症やMCIの方でも嗅覚障害を感じられる方が一定数いらっしゃいます。鳥取大学の研究では、アロマテラピーが効果的であるという論文を出しています。レビー小体型について特化して書かれているものではありませんが、 アロマセラピー(昼用としてローズマリー・カンファーとレモン、夜用として真正ラベンダーとスイートオレンジ)を用いることにより、アルツハイマー型認知症の嗅覚機能と認知機能に改善効果が認められたという事でした。レビー小体型認知症に対する効果はここでは謳われてはいませんが、ご紹介させていただきます。本日もお読みいただきありがとうございました。
■執筆者情報
この記事は、医療法人バディ公式LINE「ケアコミ」の内容を引用しております。
医療法人バディ 認知症部門副部長
廣島真柄(言語聴覚士・認知症ケア専門士)
都内の総合病院に言語聴覚士として15年以上勤務。主に急性期病院で脳卒中、神経難病の患者のリハビリを担当しながら、認知症疾患医療センターでもの忘れ外来の検査や入院患者の認知症ケアを担当。2021年に医療法人バディに入職。コミュニケーションを主軸とした認知症の非薬物療法に取り組む。
医療法人バディ https://buddymedical.jp/
2019年設立。横浜市、鎌倉市に3つの脳外科クリニックと認知症部門を展開。2023年より、居宅介護支援事業、訪問リハビリ。2024年より訪問看護部門を開設。
