Early Detection

早期に気づく

Changes In The Brain

認知症が発症する前から脳内の変化は始まっている

認知症でもっとも頻度の高いアルツハイマー型認知症では、認知症の発症に先行して、脳の萎縮、次いで記憶障害が生じると考えられています。
そのため、こうした状態の変化が表面化する前に、早期に気づき、早期に手当てを始めることが重要視されています。

(日本神経学会「認知症疾患ガイドライン2017」を一部改変)



国立研究開発法人NEDO「2018年 戦略的イノベーション創造プログラム(5年)」採択Jack CR Jr et al.(2010) Hypothetical model of dynamic biomarkers of the Alzheimer’s pathological cascade. Lancet Neurol. 9(1):119–128.より改変

To Notice Early

早期に気づくために

MCIの段階で、昔よりも物事をこなすのに時間を要したり、非効率的であったり、間違いが多くなったり…などが目立つ場合があります。実際、“今までの自分とは違う”と本人や周囲の人が気づいて専門医を受診し、MCIと診断されるケースが少なくありません。しかしながら、日常生活に追われる日々では自分の変化になかなか注意が向きません。
そこで、早くから神経心理検査やMRI検査などによって自分の状態を把握すること、また、自分の記録を蓄積していき、変化があれば早期に気づくことが大切です。

If You Think

認知症かも?と思ったら早めに専門医を受診しましょう

まず、今起きている状態の原因を早期に知ることが殊に重要な場合があります。
認知症を引き起こす疾患のなかには、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫等の脳外科的疾患、甲状腺機能低下症やビタミンB12欠乏症等の内科的疾患など、治療可能な認知症(treatable dementia)とされるものがあります。これらの疾患は、早期に気づいて適切な治療や処置をすることにより、認知症と思われた状態が消失ないし改善することが知られています。すなわち、放置して認知症を進展・重症化させないことが重要です。

(日本神経学会「認知症疾患ガイドライン2017」を一部改変)



また、認知症は一般的に、治療を早く始めるほど効果があるといわれています。たとえば、抗認知症薬は認知症の進行を遅らせることができるため、薬を早く始め、継続することによって、より多くのことができる状態をより長く保つことが期待できます。
早期に受診し、認知症の理解を深めていくことによって、生活上の障害を軽くし、病気に伴うトラブルに備えることができます。後見人を決めるなど社会面の準備や、人生をどのように過ごすかの新たなプランなどにより、自分らしい生き方を見出すことが可能です。

診察の流れ

  • 1.予診
  • 困っていること、気になっていること、今の状況、これまでの状況等について話します。
  • 2.診察・検査
  • 診察と、神経心理検査、MRI検査、血液検査等の必要な検査を受けます。
  • 3.結果の説明・今後の相談
  • 診察や検査の結果等を元に診断を受けます。診断内容によっては治療開始が提案されます。
    また、今後の治療や生活に関する方針が共有されます。
  • 4.定期的な状態確認
  • 治療の有無にかかわらず、定期的に状態を確認して経過をみていくことが大切です。

From Now

今からできること
  • 1.認知症のリスク要因を抑える

    高血圧(特に中年期)、糖尿病、脂質異常症(中年期)などの内科的疾患、メタボリック症候群、喫煙は、認知症発症のリスクを高める、あるいはMCIと関連するという報告が多くなされています。最近では、睡眠時無呼吸が認知機能低下に影響するいう報告もあります。
    これらの状態や習慣を修正することは、長い人生を快適に過ごす上で大切といえそうです。

  • 2.体によいことは脳にもよい

    定期的な身体活動は認知症の低い発症率と関連する、あるいは、認知症の発症を抑制するという報告があります。運動介入は認知症の人やMCIの人の認知機能を改善する、という報告もあります。
    余暇活動には知的要素(ゲーム、囲碁、麻雀、映画・演劇鑑賞など)、身体的要素(スポーツ、散歩など)、社会的要素(友達に会う、ボランティア活動、旅行など)が含まれ、余暇活動は認知症の発症を抑制するとも報告されています。

日本神経学会「認知症疾患ガイドライン2017」による


これらの身体面、生活面の工夫をすることによりトータルで状態が良くなることが期待できます。しかし、だからといって認知症・MCIにならないというわけではありません。

"特定のトレーニングが認知症を予防することはありません。それなのに、そのことにばかりとらわれて自分らしく生きられるはずの貴重な人生の時間を無駄にしないで欲しい。"

(繁田雅弘医師:2019年在宅医療カレッジより)

のぞみメモリークリニックホームページ「繁田医師の講演「あなたは認知症予防というものをどのように考えていますか?」

3.早期から、適確な経過観察をする

私達の人生の主人公は、私達自身です。
何をどう選ぶか、どう生きるかを判断するのに、もっと大事なのは、自分の状況を正しく知ることです。これは、認知症になって安心して毎日を送るうえでも大切なこと*です。
だからこそ、早くから定期的に検査をし、自分に関するデータを蓄積し、未来予測をしていくことが大切です。

*今井幸充医師「認知症ねっと:第24回 認知症の人への正しい情報は安心を伝えます」

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